山形屋歯科 坂上医院
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金属アレルギー


◆ 治療・診断・予防

さて、なぜ金属アレルギーが起こるのでしょうか?

■金属アレルギーとは(その発症のメカニズム)

 金属そのものは生体に対して特別にアレルギーを起こす事はありません。
 しかし、金属がイオンとなって溶け出し、体の中に存在するタンパク質と結合する事により、これを全く別の、本来体の中に存在しないタンパク質に変化させてしまいます。
 この金属がイオンになって溶け出すメカニズムは、金合金修復のヘージの『化学的性質』の「イオン化傾向」の項目で詳しく述べましたので、是非ご覧ください

 こうして出来上がった新しいタンパク質は、生体にとって異物とみなされます。
 人間の体には、本来あってはならない物質の進入を拒否し、これを排除しようとする作用があります。これを『免疫』と言うのはもう御存知の事と思います。
 本来体内に存在しない種類のタンパク質は、生体にとって抗原とみなされ、これに対する抗体が作られます。
 生体に異物が認識され、次回の侵入を防ぐために記憶されることを感作(かんさ)といいます。
 一度感作されると、金属アレルギーは一生といってよいくらい長い間持続し、金属アレルギー自体の治療は著しく困難になります。
 そして、再び同じ金属イオンが体内に微量でも侵入すると、その部位に抗原抗体反応を及ぼすだけでなく、全身の他の部位でも過剰反応を起こすと考えられています。
 口腔内の金属アレルギーは、金属を使用してから数十年を経て突然発症することも多く、すぐに症状が現れるとは限りません。

 原理は花粉症やアトピーと同じで、決して特殊なものではありません。
 そのため、今現在、金属アレルギー反応のない方でも、お口の中の金属によって、アレルギーになってしまうおそれがあります。
 言いかえると、お口の中に金属が存在し続ける以上、金属アレルギーになる危険性に常にさらされていることになります。

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 ただ、この抗原抗体反応は人によって違い、ある人は銅イオンに対して抗体を作ってしまい、別の人はニッケルイオンに対して抗体を作ってしまいますし、また全然抗体を作らない人もいます。
 それこそ千差万別で、原因をはっきりと特定することをより難しくしています。

■金属アレルギーの治療

 当院での金属アレルギー治療について具体的に述べてゆきます。
 まず、お口の中の金属が原因で症状が出ていると考える場合には、どの金属が抗原をつくる原因になっているのかを突き止める必要があります。
 歯の治療に使用される金属は合金という形で、色々な金属が使われています。
 アレルギーの頻度の高い金属としては、水銀、ニッケル、コバルト、スズ、パラジウムなどが挙げられます。これらは歯科の治療で使用される頻度も高いものです。
 しかし、前述のようにどの金属イオンに対して抗体を産生するかは人によって違います。
 そのため、通常はアレルギーの頻度の非常に低い金属イオンに対しても、抗体を産生しうる可能性は誰にでもあります。
 現在どの金属イオンに対してアレルギー反応を起こしているのかを正確に把握する必要があります。
 それには、皮膚科でおこなわれる『パッチテスト』が大変有用です。

バッチテスト

 パッチテストは、皮膚表面(背中や腕)に原因と考えられる物質を貼付することにより、患者さんがその物質に対してアレルギー反応を起こすかどうか(アレルギー体質)を調べる方法です。
 一般にアレルギー反応は48時間後が最も強くなるため、検査物質を48時間(2日間)貼付することが必要です。
 また、48時間後に検査物質を取り除いた後も、反応がどのように変化していくかが判断の材料になるため、72時間後(貼付3日後)も観察が必要になる場合もあります。
 さらに、物質によっては遅れて反応を示すものもあり、貼付7日後の判定が必要な場合があります。
 面倒ですが、比較的安全で、確実である事が多い方法です。
 金属アレルギーの心配のある方はあらかじめ、この『バッチテスト』を受けて、原因になりそうな金属をあらかじめ把握しておかれると治療がスムーズに行えます。
 パッチテストの方法については信頼できる皮膚科で御相談下さい。
 鹿児島においては鹿児島市立病院の皮膚科において、アレルギー検査が出来ます。

歯科医院で行う処置

chiryou.jpg(14362 byte)  原因となる金属が判明したら、歯に詰めたり、被せたりしてある金属を除去します。冠の土台として金属が使用されている場合にはこれも除去します。
 土台として使用してある金属を除去した後、当院では『ファイバーコアポストシステム』とよばれる、特殊な金属を全く含まない材料・手技で、土台を作り直します。
 その後、暫間充填、暫間被覆冠として、金属を全く使用しない材料を用いて一時的な修復を行います。
 その後、症状が消失するまでの間、経過を観察します。
 経過観察期間は人によって異なります。直ぐに症状が消える人もいれば、症状の消失・再発を繰り返す人もいます。
 大体3ケ月程度の経過で症状が少しづつ消えて治癒してゆきます。
 もし、アレルギー症状が消えなければ歯に使用してあった金属が原因ではないという事になります。
 これが治療を開始するかどうかの決心を鈍らせる原因になっています。
 首尾よく症状が消えて、金属アレルギーであった事が判明したら、最終修復に移る事になります。
 使用する材料は、ほとんどの場合最終的には、『審美歯科』のページで御紹介した材料や、『金合金修復』のページで御紹介した材料になります。
 しかし、この『パッチテスト』が万能である訳でもないのです。『パッチテスト陰性』のはずの金属に対しても金属アレルギーが発現する症例も報告されています。
 ですから、『パッチテスト』陽性の金属の使用は一切おこなわず、また陰性であった金属も極力使用を避けます。
 治療には健康保険の適用になっていない材料が多いため、自費治療となり、治療費が高額になりがちなのが欠点です。

 最終的には患者さんと十分に相談した上で材料を選択する事になります。
 ほとんどのケースで、セラミックスハイブリッドポーセレンなどが選択肢になります。
 逆に言えば、この事が金属アレルギーの治療開始の妨げになる場合も珍しくありません。

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 当院を受診される患者さんの中にも、表在性の舌炎に口腔扁平苔癬を合併した金属アレルギーではないかと思われる症例が年に2~3例見受けられます。
 痛みや痒みを伴わない症例では『パッチテスト』を受ける事を強く勧められないのも事実ですし、簡単に詰め物を除去して高価な修復物を装着するわけにもゆきません。
 このあたりが歯科医師として悩むところです。
 いずれにせよ、お口の中に繰り返し炎症を起こす場合や、手足に掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)が繰り返し起こって、皮膚科で治療しても治らない場合には、当院に御相談頂ければ、何らかのご助言をして差し上げられると思います。
 当院での治療を御希望の方は、来院して頂けましたら、その詳しい説明や治療計画等につき丁寧に御説明いたします。

金属アレルギーとは 金属アレルギーとは

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