良い入れ歯とはどんな入れ歯でしょうか?
良い入れ歯とはどのようなものかについては、人それぞれの価値観によって違いがあります。 しかし、まず「噛めない入れ歯」は良い入れ歯とは言えません。
現在、入れ歯で悩んでおられる皆様の最も多い原因は、 『入れ歯の調整がうまくゆかずに噛めない・噛むと痛い』 ということです。
当院を受診された患者さんが異口同音に言われることは、 『今まで何軒もの歯医者で入れ歯を作ってもらったが、まともに噛めない。』
『どこの歯医者で作ってもらっても痛いので、柔らかい物ばかり食べている。』 という言葉です。
人間は『食べる』という基本的な動作が制限されると、それがストレスとなり、 食事の時間が最も苦痛になるようです。
話は30年以上前にさかのぼりますが、学生時代に入れ歯を作る授業がありました。 当時は、入れ歯で噛める物・噛めない物を必死に暗記したものです。
ところが近年、入れ歯作りの技術が発達したおかげで、 以前は噛めないとされていた多くの食品を噛みこなす患者さんが増えてきました。
当院で入れ歯を作り、患者さんに装着した後、 「どんな物が噛めたか」「どんな物が噛めないか」を詳しくお聞きしました。
その結果、入れ歯で噛めるもの・噛みにくいものをまとめてみました。
| たくあん | ピーナッツ |
| おせんべい | イカの刺身 |
| ローストビーフ | アスパラベーコン |
| エビのからあげ | 酢ダコ |
| 地鶏の焼き鳥 | ナマコの酢の物 |
本当にこんなものが噛めるのだろうか?
最初に聞いた時に一番驚いたのは私自身でした。 「いくらなんでも、そんな噛み応えのあるものを入れ歯で噛めるのだろうか。」
しかし症例を重ねるうちに、多くの患者さんが固い食品を噛みこなしておられることが分かりました。
理由は意外と簡単でした。
『入れ歯作りの技術の向上』と 『患者さんの入れ歯を人工臓器として使いこなす努力』 が調和した時、入れ歯は『臓器』となってお口の一部と同化し、固い食べ物を噛みこなせるようになるのです。
自分の歯と入れ歯での噛み方の違いを理解し、 入れ歯で物を噛む訓練を毎日続けておられました。
入れ歯は義足や義眼とは異なり、 本当の歯に限りなく近い機能が要求される『人工臓器』です。
私は一生懸命に入れ歯を作りますが、 入れ歯を使いこなすのは患者さん自身です。
『入れ歯作りの技術』と『患者さんの努力』が調和した時、 入れ歯はお口の一部として機能します。
さぁ、次はこのページを読んでおられる皆様の番です。 入れ歯で噛む練習を積んで、もっと驚くような食品を噛みこなせるようになってください。