「噛むと痛い」
「入れているだけで痛い」
「うまく噛めない」
「すぐ外したくなる」
「急に老けた気がする」
「話しづらい」
当院を受診される患者さんの、使用中の入れ歯に対する不満は本当に多く、 その内容は多岐にわたります。
こうした悩みは、患者さんにとって非常に深刻です。
私は日々の診療の中で、 「不満だらけの入れ歯」と「100%ではないが機能する入れ歯」の違いは何か を常に考えています。
入れ歯に不満を持つ患者さんの半数ほどは、 ほんの少し手を加えるだけで“機能する入れ歯”になる と感じています。
ここでは、代表的な入れ歯の悩みと、その解決法について詳しく説明します。
主要な悩みの改善方法
痛くて噛めない・噛みづらい
「痛くて噛めない」という相談は毎日のように寄せられます。 それだけ多くの方がこの問題に悩み、我慢しているということです。
痛みの原因はさまざまですが、特に多いのは次の4つです。
① 入れ歯のフチが長すぎて歯茎に当たる
新しい入れ歯を作った直後や、長期間同じ入れ歯を使っている場合に多く見られます。
型採りの都合でフチが長く作られることがあり、 噛むたびにフチが歯茎をこすって傷ができ、痛みの原因になります。
また、長年使っていると歯茎が痩せ、入れ歯が沈み込んでフチが当たり痛みが出ます。
フチが長いだけなら、フチを削って調整すれば解決します。
歯茎が痩せている場合は、 ・新しい入れ歯を作る ・床裏装法(内側に材料を追加してフィットさせる) のどちらかで改善できます。
② かみ合わせが悪く、特定の場所に強い力がかかる
フチではなく、入れ歯の内面が歯茎の頂上に当たって傷ができるタイプです。
歯科医がかみ合わせを確認し、 高い部分の人工歯を削って調整すれば痛みは改善します。
噛むたびに入れ歯がズレて痛む場合も、かみ合わせ調整で改善します。
③ 不都合な「かみ癖」が原因で痛む
特に総入れ歯でよく見られます。
以前、最後まで残っていた歯の位置で噛む癖が残っていると、 前歯で噛んでしまい、前方の内面がこすれて痛みが出ます。
この癖を治すには、 奥歯で噛む訓練 が必要です。
どうしても癖が治らない場合は、治療用義歯を使い、 奥歯の高さを少しずつ調整して 最適なかみ合わせの高さを探します。
④ 歯茎の内部の骨がとがっていて痛む(最も厄介)
歯を抜いた後、通常は骨が丸くなりますが、 人によっては骨のとがった部分が残ることがあります。
その結果、粘膜が入れ歯と骨に挟まれ、強い痛みが出ます。
この場合、入れ歯の調整だけでは痛みが治まりにくく、 一時的に良くなっても別の場所が痛むことを繰り返します。
治療法は、 ・治療用義歯を新しく作る ・フチを広く延長 ・粘膜調整剤(ティッシュコンディショナー)で粘膜面を整える ・最終的に生体用シリコーン裏装義歯を作る という流れになります。
このケースでは、 歯科医と患者さんの協力が不可欠です。
すぐに外れる
口を開けたり、話したりするとすぐ外れる入れ歯は、患者さんに大きな不安を与えます。
主な原因は次の2つです。
- ① 人工歯の磨耗などでかみ合わせが悪くなる
- ② 歯茎が痩せて入れ歯が合わなくなる
すぐ外れる入れ歯は最悪の状態ですが、 安易に入れ歯安定剤に頼ると、さらに悪化します。
原因が①の場合は、かみ合わせを適切に戻すことで改善します。
たった1回の調整で劇的に改善することもあります。
原因が②の場合は、 ・床裏装法(内側に材料を追加) ・新しい入れ歯を作る のどちらかになります。
使用期間が5年以上の入れ歯は、 作り直した方が良い結果になることが多い と感じています。