歯みがき剤

　普段から、丁寧なお口のお手入れを習慣づける事が一番大切です。
　歯磨きの仕方については『歯磨きについてのページ』に記載致しましたので、是非ご一読下さい。
　ここでは、不適切な歯磨きでどんな不都合がおこるのかを考えてみましょう。

■どの歯磨き剤を選べばよいのでしょう？

　歯磨き剤ですが、皆さんの主治の歯科医や知り合いの歯医者さんに、どんな歯磨き剤を使ったら良いのかを聞いてみて下さい。
　「別に、どれを使っても良いのではないですか。」
という返事が圧倒的に多いと思います。
　では、その先生に、どのくらいの量をハブラシにつけたら良いのか聞いてみて下さい。
　「無理して歯磨き剤を使う必要はないですよ。」という返事が圧倒的に多いと思います。

　「じゃあ、何のために歯磨き剤があるのか？」と考え込んでしまいたくなりますね。
　どうでも良いのではなく、どれでも良いのです。
　各メーカーは色々な実験・研究を行って『歯磨き剤』を開発します。どの歯磨き剤をとってみても、それなりの工夫がなされており、それぞれ良いのです。
　みんな違って、みんな良いのです。
　大切なのは歯磨き剤に何を使用するかではなく、その使用量・使用するタイミングと歯磨きの方法です。

■歯磨き剤を使用するタイミングは？

　私は、特に口臭の気になる方の治療を進めてゆく際には、まず、ひとりひとりに合った歯磨き方法を丁寧に指導いたします。そして、
『まず、夜寝る前の歯磨きですが、歯磨き剤を全く使用せず「やわらかめ」のハブラシで１０分程度、力をあまりいれずに磨いてみて下さい。
　その際洗面所で磨くのではなく、テレビを見ながらとかお風呂の中でとか、出来る範囲で構いませんので磨いてみて下さい。
　洗面所では１０分も磨いていられませんが、「・・・しながら」なら結構時間はすぐにたってしまいますよ。
　その後、ハブラシに大豆くらいの量の歯磨き剤をつけて、洗面所の前で丁寧に歯磨きを行って下さい。
　その時は、歯間ブラシ・糸ようじ・電動ハブラシ・水流を利用した洗口器具などを有効に活用して下さい。
　朝の歯磨きと昼の歯磨きは、これに準じて、その時に出来るだけの事をして下さい。

　何も出来ない時は、少なくとも洗面所に行って丁寧にうがいだけでもして下さい。たいした時間はかからないと思います。
　大切なのは夕食後の寝る前の歯磨きです。』
　と指導しています。
　出来ない事をいくら指導してもあまり意味が無いと考えるからです。
　あと、洗口剤の併用はお口の中の細菌数を減らすのにとても有効であることが知られています。
　夜、寝る前の歯磨きを丁寧に行ったあと、最後の仕上げに洗口剤を併用する事をお勧めしています。
　但し、『洗口剤』はあくまで丁寧な歯磨きの後にのみ有効です。

　適当に手を抜いて歯磨きをした後、『洗口剤』でとりあえずうがいをするといった動作は、ほとんどお金の無駄遣いだと考えて間違いないでしょう。

■歯磨き剤が、害になる場合があります！

　では、何故歯磨き剤や洗口剤の使い方に気をつけなければならないのでしょうか？
　歯磨き剤に含まれる、界面活性剤・保存剤、また洗口剤に含まれるアルコールは、時として有害な場合があるからです。
　口臭の原因の項目で舌からの臭いについて述べましたが、歯磨き剤や洗口剤を大量に使用している方の舌や歯茎、頬の粘膜は、これらの界面活性剤などの影響により上皮細胞に沢山の傷ができている事が確かめられています。
　歯磨き剤の使用を最小限する事は、歯の汚れを落とすのに有効であるばかりでなく、お口の中の粘膜や舌の表面の粘膜に対する刺激を最小限にとどめ、これに対する生体の異常な反応を抑制する事ができます。
　適切な量の歯磨き剤や洗口剤の使用により、舌の粘膜の表面の界面活性剤・保存剤・アルコールによる炎症がほとんどなくなり、舌は本来の機能を十分に発揮できます。
　また、異常に『喉が渇いた』という感覚が消え、大量の舌苔の付着を防止する効果があります。

　よく、歯磨き剤をチューブから勢いよく出して、往復で歯ブラシの上にてんこ盛りにして豪快に歯磨きをしている方を見かけます。
　こういった磨き方は歯茎や舌に対する刺激が強すぎて、適切な時間磨く事が出来ません。
　しかも歯磨き剤に含まれる薬効成分のために、お口の中ににせものの清涼感が広がり、全く磨けていないにもかかわらず、お口の中がすっきりした気がします。
　これでは本末転倒です。
　大切な事は、歯についた汚れを効果的に落とし、お口の健康を保つ事です。
　これらの細かな方法については、皆さんの主治の歯科医に聞いてみて下さい。
　私がここに書いた内容よりもっと具体的で効果的な指導をして下さる事と思います。
　皆さんは、一番効果的で、一番自分が実行出来そうな事を選んで実行に移せば良いのです。

口臭治療