■ スマイルデンチャー・コンタクトデンチャーの欠点
人から入れ歯を入れていることを悟られない入れ歯として、 スマイルデンチャー・コンタクトデンチャーをご紹介してきました。
これらは弾性があり、適応範囲も広く、装着感も良好で、多くの患者さんに喜ばれています。 一方で、材料が スーパーポリアミド(ナイロン系)であるため、 ある条件では、その弾性が逆に欠点となる場合があります。
それは、前歯が連続して多数欠損しているケースです。
奥歯は主に上下方向の力を受けますが、前歯は湾曲が強く、 縦方向と横方向の両方の力を受けます。 そのため、スマイルデンチャーやコンタクトデンチャーでは、
① ウイング部のスーパーポリアミドがたわみ、
入れ歯が前方にずれて後ろが浮き上がりやすい
② 舌先が当たる部分がスーパーポリアミドで覆われるため、
舌感があまり良くない
このような 前歯の連続多数歯欠損では、 審美性の良い入れ歯(スマイルデンチャー・コンタクトデンチャー・スマイルデンチャーC+)も、 いざ噛もうとすると外れそうになるという問題が出てきます。
これらの欠点を見事に克服したのが『スマートデンチャー』です。
スマイルデンチャー・コンタクトデンチャーの 審美性をそのままに、 欠点である「過度な弾性」を程よく抑えた入れ歯です。
前歯の連続多数歯欠損を安定して支えるために、 内側の見えない部分に金属を用いたバネを金属床と一体化させ、 審美性・舌感・使い勝手を高めた入れ歯が 『スマートデンチャー』です。
■ スマートデンチャーの当院での症例
症例は、前歯が連続して6本欠損し、奥歯はしっかりしている患者さんです。 審美性・安定性ともに優れ、大きく口を開けて笑っても、 前歯に入れ歯が入っているとは気付かれません。
スマートデンチャーは金属床義歯の利点を持ち、 金属部分は1mm以下で作製されるため、 とても薄く、装着感が軽くて気持ち良いのが特徴です。
■ スマートデンチャーの構造
ウイング部分の内側は金属床と一体化しており、 この金属により 左右方向の動揺を防止 します。
外側のピンク色のウイング部には ポリカーボネート樹脂 を使用しています。 適度な弾性と粘り強さを持ち、歯をやさしく、しかししっかりと把持することで、 入れ歯の前後方向の動揺を抑え、 奥の部分が浮き上がるのを防ぎます。
このポリカーボネート樹脂の応用により、 従来の スーパーポリアミド では実現できなかった 「審美性の良い入れ歯の高い安定性」が可能になりました。
■ スマートデンチャーの利点
● 前歯の連続多数歯欠損に対して、非常に優れた性質を持つ。
● 金属の維持装置が外から見えないため、
審美性が高く、入れ歯と気付かれにくい。
● 適度な弾性と粘り強さにより、
装着時の違和感が少ない。
● 熱可塑性樹脂で 生体為害性が少なく、無味・無臭。
● 吸水性がほとんどないため、
汚れ・臭いが付きにくい。
● ポリカーボネート樹脂を用いることで、
チェアサイドでの修理が比較的容易。
従来の審美義歯(スマイルデンチャー・コンタクトデンチャー・スマイルデンチャーC+)は、 材料の性質上「削る調整」はできても、材料の追加が困難でした。 スマートデンチャーはポリカーボネート樹脂を用いることで、 修理・調整の自由度が高くなっています。
■ スマートデンチャーの欠点
○ 審美性を重視した入れ歯であるため、
咬合力は他のタイプの入れ歯に劣る 場合があります。
この意味で、奥歯の欠損よりも、前歯の欠損症例に適しています。
○ ウイング部の内側に金属を使用するため、
ウイングを掛ける歯の平行性が悪いと作製が難しい 場合があります。
○ 金属床の作製とポリカーボネート樹脂による仕上げなど、
工程が複雑で、完成までに手間と日数を要します。
以上のような性格を理解したうえで、 適応症をしっかり見極めて作製すれば、 より自然な美しさと快適さを兼ね備えた、 審美性に優れた入れ歯と言えます。
